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緑内障

緑内障とは

緑内障

緑内障とは、目と脳をつなぐ視神経が何らかの原因で障害され、見える範囲が狭まっていく病気です。日本人の成人における視覚障害の原因1位となっており、国内で2000年~2001年に行われた疫学調査*では、40歳以上の20人に1人は緑内障にかかっているという結果が出ました。

*日本緑内障学会|「日本緑内障学会多治見緑内障疫学調査」報告 より

緑内障の症状

緑内障は視野(見える範囲)が狭くなったり視界が欠けたりして(見えない部分が出てくる)、治療しなければ失明にいたります。ただし、症状を初期段階で自覚することは難しく、気づいたときにはある程度進行してしまっていることが多いです。実際に、上記で紹介した疫学調査*で緑内障が明らかになった患者さんのうち、既に緑内障と診断されていた人は1割程度で、9割近くの人は緑内障だと気づかず生活していたのです。

症状を早い段階で自覚できない理由の一つに、片側の目の視界が一部欠けたとしても、両目で見た場合にはある程度それを補うことができることが挙げられます。

ただし、緑内障でも急に眼圧(目の形を保つために発生するほぼ一定の圧力、目の硬さ)が上昇することで起こるタイプ(急性緑内障発作)に関しては、目の痛みやかすみ、充血といった目の症状に加え、頭痛などが現れます。

緑内障の原因

緑内障を起こす危険因子は眼圧や加齢や家族歴、近視などが挙げられますが、緑内障を発症するはっきりとした原因は、実はまだ明らかになっていません。

例えば緑内障では眼圧が高くなることで視神経が障害されると考えられていますが、正常の数値の範囲内にもかかわらず、緑内障を発症している患者さんもいます(正常眼圧緑内障)。

上記に挙げた危険因子とは別に、外傷、目の炎症(ぶどう膜炎)など他の目の病気による眼圧上昇やステロイド剤などの薬剤による眼圧上昇によっておこる緑内障を続発緑内障と言います。

ちなみに眼圧が日ごろ一定の数値に保たれているのは、目の中で作られる房水が作られた量と同じだけ目から流れ出るサイクルによるものです。このサイクルに乱れが生じると、眼圧は高くなったり低くなったりします。

緑内障の検査

緑内障

緑内障は、自覚症状に乏しい病気だからこそ、検査による早期発見が重要です。

眼底検査

視神経が障害されていると視神経の中心にある陥凹(へこみ)が変形し大きくなります。三次元画像解析装置を用いることで目の奥のわずかな変化も確認でき、初期の緑内障も診断できます。

眼圧検査

目に直接接触させて測定する機器や、目に空気を当てて測定する機器などを用いて、眼圧を検査します。

視野検査

緑内障が疑われた場合、視野を確認する検査を行います。緑内障になると、視野のなかで見えにくい部分が広がっていきますので、専用の装置を用いて確認します。

緑内障の治療法

緑内障によって失われた視力や視野は、残念ながら現代の医療では取り戻すことができません。そのため進行を遅らせたり、防いだりすることを目的として治療を行います。

先ほど緑内障の原因は明らかになっていないと説明しましたが、眼圧を低い値にコントロールすると、悪化するリスクが減ると言われています。そのため眼圧を下げていく治療は重要です。

点眼薬による治療

患者さんの目の状態に合わせた点眼薬で治療していきます。複数の目薬を組み合わせて処方することもあります。長期にわたる点眼が必要です。

レーザーや手術による治療

点眼薬で眼圧が下がらない場合や視野障害が進行している場合は、眼圧をさらに下げるために房水の流れを変えたり房水の排出を促したりするレーザー治療や、房水の排出を助ける手術を行います。